日本栄養・食糧学会誌
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緑黄色野菜類におけるクロロフィル, カロチン, トコフェロールの含有量ならびに相関について
井崎 やゑ子吉田 宏三日高 公雄戸田 和子
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1986 年 39 巻 6 号 p. 485-493

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抄録

緑黄色野菜類を中心に, 果実, 漬物, 葉緑素製品についてα-トコフェロールと光合成色素であるクロロフィル (a, b), β-カロチンの含有量ならびにその相互関係を調べた。
1) 葉菜類においてクロロフィルとβ-カロチンはきわめて高い正の相関を示し (相関係数0.979) そのモル濃度比は25: 1であった。
2) 葉菜類におけるクロロフィルとα-トコフェロール, およびβ-カロチンとα-トコフェロールの間にも正の相関が認められたが, 相関係数はそれぞれ, 0.744, 0.761と若干低くばらつきがみられた。
3) 花らいや花軸を食用とする野菜では, クロロフィルおよびβ-カロチン量に対するα-トコフェロールの割合が, 葉菜類に比較して相対的に高いことが明らかになった。
4) 青菜の漬物ではクロロフィルの残存量にかかわらず, β-カロチン, α-トコフェロールの含量の高いものが多かった。
5) クロレラ製品はクロロフィル含有量がきわめて高いが, β-カロチン, α-トコフェロール量の割合は一般的な葉菜類に比べてかなり低いものが多かった。
6) 緑黄色野菜およびその漬物はα-トコフェロールの供給源として有望であるが, 腸管吸収率を高めるため脂質を含む他の食品群とともにバランスよく献立に組み入れる工夫が望まれる。
本研究にあたり貴重なサンプルを恵与していただきましたタキイ種苗株式会社研究農場の各位, ならびにご指導ご助言いただきました国立衛生試験所内山充部長, 京都府立大学伊吹文男教授, 並木隆和教授に深く感謝の意を表します。

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