1987 年 40 巻 2 号 p. 137-140
コレステロールとコール酸を含む米をタンパク質源とする飼料に, リジンとスレオニンを添加し, ラットの血漿と肝臓のコレステロール濃度への影響について検討した。
米飼料, リジン添加米飼料摂取で体重が著しく減少したが, これらの飼料へのThar添加で体重減少は抑制された。
米類似アミノ酸混合物をタンパク質源とした飼料, それにリジンを添加した飼料摂取で体重は減少したが, リジンとスレオニンの組合せ添加で体重減少は抑制され, 米をタンパク質源とした結果と一致した。
血漿と肝臓のコレステロール濃度は米飼料, 米類似アミノ酸混合物飼料へのリジン添加で変動しないが, リジンとスレオニンの組合せ添加で有意に上昇した。血漿と肝臓のコレステロール濃度の上昇は, スレオニン単独添加が原因であった。
米飼料, リジン添加米飼料に, スレナニン添加で生ずる血漿の総コレステロールに対するHDL-コレステロールの比は顕著に低下した。
以上の結果, 米飼料に添加したスレオニンが, 血漿と肝臓のコレステロール濃度の調節に関与していることが示唆された。