日本栄養・食糧学会誌
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放射化分析による牛, 豚, 鶏の肉と内臓中の微量元素の含有量について
稲荷田 萬里子梶 敏勝保屋野 美智子野崎 正
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1987 年 40 巻 4 号 p. 328-332

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抄録

1) 牛, 豚, 鶏の各部位の肉および内臓の中のZn, Fe, Co, Cs, Scの含有量を熱中性子放射化分析法により測定した。
2) Zn含有量は牛の各部位の肉では43.9~79.3ppm, 牛の可食内臓は19.1~45.0ppm, 豚の各部位の肉は20.4~114.9ppm, 豚の可食内臓は39.3~94.7ppm, 鶏の各部位の肉は3.5~10.8ppm, 鶏の可食内臓は7.5~21.8ppmであった。
3) Fe含有量は牛の各部位の肉は10.7~24.9ppm, 牛の可食内臓は4.0~41.1ppm, 豚の各部位の肉は12.5~27.5ppm, 豚の可食内臓は12.5×325.6ppm, 鶏の各部位の肉は2.3~5.5ppm, 鶏の可食内臓は6.7~47.5ppmであった。
4) Co含有量は牛の各部位の肉は4~31ppb, 牛の可食内臓は4~68ppb, 豚の各部位の肉は6~22ppb, 豚の可食内臓は40~90ppb, 鶏の各部位の肉は2~18ppb, 鶏の可食内臓は6~25ppbであった。
5) Cs含有量は牛の各部位の肉は12~42ppb, 牛の可食内臓は5~14ppb, 豚の各部位の肉は10~64ppb, 豚の可食内臓は38~104ppb, 鶏の各部位の肉は10~8ppbで, 手羽肉, むね肉, ささ身は検出不能であった。鶏の可食内臓は砂ぎものみ4ppbを示し, 他は検出不能であった。
6) Sc含有量は牛の各部位の肉は1.0~15ppb, 牛の可食内臓は0.3~0.9ppb, 豚の各部位の肉は0.1~1.8ppb, 豚の可食内臓は3.0~21ppb, 鶏の各部位の肉では0.7~43ppbで, ささ身は検出不能であった。また鶏の可食内臓はすべて検出不能であった。
7) FeとZn, あるいはFeとCoの含有量の相関関係について調べた結果, 牛の各部位の肉および内臓ではFeとZnの含有量は負の相関 (r=-0.413, n=23, p<0.05) を示し, FeとCoの含有量の相関は認められなかった。また, 豚の各部位の肉および内臓ではFeとZnの含有量は正の相関 (r=0.577, n=17, p<0.05) を示し, FeとCoの含有量は顕著な正の相関 (r=0.769, n=17, p<0.005) を示した。

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