日本栄養・食糧学会誌
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子供のエネルギー消費と摂取の実態
岡崎 光子柏崎 浩鈴木 継美
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1988 年 41 巻 2 号 p. 85-90

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抄録

都市の子供 (12人), 農村の子供 (9人) の1日の全行動を追跡調査し, エネルギー消費量を推定し, 同時にエネルギー摂取量を調査した。
1) 各行動に費やされた時間都市の子供は農村の子供に比較し, “座っている時間”は有意に長い。逆に農村の子供は“走っている時間”が長い。
2) エネルギー摂取量 (kcal/kg) 農村の子供は都市の子供に比較し, エネルギー摂取量 (kcal/kg) は有意に多い。またエネルギー摂取量中, 間食エネルギー摂取量 (kcal/kg) の占める割合も農村の子供が有意に大きい。
3) エネルギー消費量 (kcal/kg) RMR法とTorúnの方法を用い, エネルギー消費量を推定した。都市の子供の場合には, 両方法により算出した推定値間に差はない。農村の子供の場合には, RMR法による推定値が有意に大きい。また農村の子供では2方法による推定値とも, 都市の子供より有意に大きい。
4) エネルギー摂取量と消費量都市の子供では, エネルギー摂取量と2方法によるエネルギー消費量との間に差はない。しかし農村の子供では, エネルギー摂取量は2方法によるエネルギー消費量よりも大きい。農村の子供に両推定値間に差がみられたことは, 推定誤差や調査期間中の偶然変動の一部が反映した結果とも考えられ, この点についてはさらに検討を必要とする。

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