日本栄養・食糧学会誌
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カフェ酸エチルエステルによるアミノ酸およびタンパク質の呈色反応について
堀川 博朗降矢 〓
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1988 年 41 巻 4 号 p. 299-303

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抄録

カフェ酸エチルエステルによるアミノ酸, タンパク質の緑色反応の特色とこの反応によるタンパク質の測定法について検討した。
1. 呈色度
アミノ酸の種類により異なった。芳香族アミノ酸やヒスチジンは強く呈色したがパリン, イソロイシンおよびセリン, スレオニンの呈色は弱かった。また, プロリンやシスティンは反応しなかった。一方, ペプチド末端のαアミノ基による呈色は弱かったがリジン残基のεアミノ基による呈色はかなり強かった。
2. λmax
多くのアミノ酸はおおむね680~690nmにλmaxを示したが芳香族およびイミダゾール環をもつアミノ酸は長波長側 (695~700nm) にあり, リジン, オルニチンおよびωアミノ酸では短波長側 (675~676nm) に位置し, それぞれλmaxに特徴が見られた。
3. 反応温度
アルブミンでは70℃, アミノ酸では60℃が最適温度であり, それ以上の温度では緑色調が減少し褐色調が増大した。
4. αケト酸の影響
アルブミン, アミノ酸いずれの場合もαケト酸存在下で反応の促進が見られた。促進効果はピルビン酸>αケトグルタル酸>オキザロ酢酸の順であった。βフェニルピルビン酸は本反応を阻害し, 反応液は褐色を呈した。
5. タンパク質の定量性
ウシ血清アルブミンは0.2~1.0mgの範囲で呈色度が直線的に増加した。さらに, ヒト希釈血清を用いて本法およびBiuret法によるタンパク質測定値間の相関を求めたところ高い相関性 (r=0.995) が認められた。

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