日本栄養・食糧学会誌
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ラットの血液性状および血清脂質に及ぼす大豆レシチンと大豆混合リン脂質投与の影響の差異について
小畠 義樹黒田 圭一斎藤 衛郎西出 英一山口 迪夫
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1988 年 41 巻 6 号 p. 457-463

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抄録

大豆リン脂質のうち脂肪酸組成は似ているが, リン脂質組成の異なった2種類の精製リン脂質, すなわち大豆精製混合リン脂質 (PLmix) と大豆精製ホスファチジルコリン濃縮物 (PC) を対照飼料の10%大豆油区分に各種段階で置換添加した飼料をラットに30日間投与し, 血液性状, 血清中の脂質濃度に及ぼす作用を検討した。
1) 実験期間中の体重増加量と飼料摂取量はPLmixまたはPC添加量の増加に応じて低下する傾向があり, 9%PLmix添加ラットの体重は対照より低値を示した。
2) 赤血球, 血小板の数はPLmix, PCのいずれの添加量増加においても増加の傾向を示したが, 血小板凝集能はPC添加でやや上昇傾向がみられた。血清ヘモグロビン, ヘマトクリットには影響がなかった。
3) 血清総コレステロール, HDL-コレステロール濃度はPLmix添加で明らかに対照より低値を示したが, PC添加ではまったく影響を受けなかった。逆に血清中性脂肪濃度はPC添加で著しい低下を示したが, PLmix添加では9%添加でやや低下傾向がみられた。
4) 肝臓P-450は9%レベルのPLmixまたはPC添加により上昇した。
これらの結果からリン脂質のうちホスファチジルコリンとその他のリン脂質では生体に対しては一部同様の作用をもつものの, 血清脂質に対しては明らかに異なった影響を与えると考えられた。

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