日本栄養・食糧学会誌
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アブラナ科野菜種子および実生のシアノエピチオアルカン生成活性
宇田 靖平野 浩美木村 千夏沢田 真治前田 安彦
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1989 年 42 巻 2 号 p. 155-163

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抄録

22品種のアブラナ科野菜種子および4日齢, 8日齢実生におけるCETA生成活性の分布, CETA生成活性とミロシナーゼ活性との相関性および両活性に及ぼすpHおよび温度の影響を検討した。
CETA生成活性は試験したすべての試料中に検出されたが, 活性の程度と実生生育中における変動の様子は品種間で差異がみられた。すなわち, 種子および8日齢実生ではB. oleracea L., B. juncea CossおよびRaphanus sativus L. に属す野菜において単位重量当たり, ないし個体当たりの高い活性が検出された。これに対してB. campestris L. に属す野菜では種子, 実生とも一部を除いて全体的にCETA生成活性は低い値を示した。
CETA生成活性とミロシナーゼ活性との相関性については, 種子および4日齢実生の場合で比較的高い相関がみられたものの, 8日齢実生では相関性はほとんどみられなかった。このことは, CETAの生成にはミロシナーゼ以外にもESPのような因子が関与することを示唆するものと思われた。また両活性に対する反応pHおよび温度の影響については, CETA生成の至適条件はpH6.0付近, 温度は15~25℃であり, ミロシナーゼのそれがpH 6.6~7.8, 温度45~55℃付近であることと著しく異なっていた。

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