1990 年 43 巻 2 号 p. 115-120
高脂肪食を摂取したADXラットを用いて肝脂質と血清FFAに及ぼす絶食および甲状腺機能の影響を検討し, 高炭水化物食を摂取したADXラットと比較した。
高脂肪食摂取ラットでは副腎機能に関係なく肝脂質量の変化はみられず, 高炭水化物食摂取ラットでみられた絶食による肝脂質量の増加を示さなかった。副腎摘出により肝脂質量はわずかに減少し, コーチゾンの投与により回復した。甲状腺機能変化への応答はADX-C群で認められ, 肝脂質量は甲状腺機能低下群で最も高い値を示した。高脂肪食摂取ラットの血清FFAレベルは絶食により増加したが, 副腎機能との関係はみられなかった。
甲状腺機能変化による影響はADX群とADX-C群では認められず, sham群で認められ, 絶食時のFFAレベルは甲状腺機能亢進群で最も高かった。
これらの結果から, 肝脂質蓄積への絶食と甲状腺機能低下の影響はその作用機構において異なり, 甲状腺機能低下による肝脂質蓄積機構へのGCの関与が示唆された。