日本栄養・食糧学会誌
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ポリデキストロース摂取が青年期女性の便通感に及ぼす影響
中川 靖枝岡松 洋藤井 康弘
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1990 年 43 巻 2 号 p. 95-101

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抄録

ポリデキストロースR (PD) は人の消化酵素により加水分解を受けることの少ない水溶性多糖の一種である。PDの生理作用を調べる目的で青年期女性ボランティア22名にPDを5~10g摂取させ, 排便回数ならびに便通感に及ぼす影響を検討した。試験はラテン方格による交差試験法に準じて実施した。被験者のPD摂取を容易にするためPDは飲料の形態とし, PDをそれぞれ0, 5, 7, 10g/100ml含む飲料を調製した。被験者は同一種類の飲料を毎日1本ずつ5日間連続摂取し, それを4種類の飲料について繰返し行った。試験期間を通し, PD摂取量を除く食物繊維摂取量は8.0gから8.8gまでの値であり, 各試験期間の摂取量に差は認められなかった。PD摂取量の増加に伴い便が柔らかくなり, PD 7gあるいは10g摂取期間時の便の硬度はPD無摂取時に比べ危険率5%で有意に高値を示した。便の硬度はPD摂取量と有意に負の相関 (r=-0.387) を示した。しかし, 便の硬度以外の便通感と排便回数には影響を与えなかった。以上の結果ならびに考察はPDが排便に対する食物繊維様の作用を有していることを示唆した。

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