日本栄養・食糧学会誌
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スイートコーン‘Delicious Bantam-90’の成熟過程における種実成分の量的変化
宮西 俊彰土本 伸二小倉 素子飯尾 鉄臣
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1991 年 44 巻 3 号 p. 203-211

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抄録

1) ’Delicious Bantam-90’の成熟に伴う種実の水分, 遊離糖含量の減少, デンプン含量そして固形成分量の増加等の各成分の量的変化は, 他品種と比べると, かなり緩慢であった。
2) 収穫適期での種実中の遊離糖含量は, 約28~34g/100g-dry matter basisと高水準にあり, かつ, そのうちの約85%がsucroseであった。一方, デンプン含量は約40g/100g-dry matter basisであった。収穫適期を経て成熟が進むに従い, 遊離糖含量が減少し, デンプン含量が速やかに増加した。
3) 香気成分前駆物質 (S-MMS) 含量は成熟に伴い徐徐に低下した。収穫適期種実中のS-MMS含量は1~2μmol/g-dry matter basisであった。全種実中のS-MMS量は収穫適期付近で最大値に達することを認めた。
4) 栽培年度の気象因子の影響は大きく, 低温多雨で推移した1983年は, 平年並の気象条件下にあった1984と1985年より, 種実中の各成分の変動開始時期が著しく遅延した。
5) 種実の水分含量と他成分の量的変化には相互に関連があり, かつ, 官能試験による品質との相関も明らかであることから, 種実水分含量の測定による収穫適期の判定は妥当と判断された。
6) 収穫適期の’Delicious Bantam-90’種実の成分組成を極力明らかにした。本品種の呈味の特徴と種実の成分組成はほぼ一致した。ただ, 本品種に特有のコク味等は遊離糖と遊離アミノ酸含量だけでは説明しきれなかった。

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