日本栄養・食糧学会誌
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植物油脂の熱酸化およびトコフェロールの熱分解に及ぼす油脂の配合割合の影響
梶本 五郎嘉ノ海 有紀小薗 伸介田村 幸一田口 信夫
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1991 年 44 巻 6 号 p. 499-505

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抄録

各種の油脂の組合せと配合割合をかえた配合油の熱酸化安定性およびトコフェロール (Toc) の熱分解度合について検討した。
1) 大豆油やなたね油にはパーム油を, 綿実油にはオリーブ油を, サフラワー油には高オレイン酸サフラワー油を配合することにより, 大豆油, なたね油, 綿実油, サフラワー油の各単独油脂に比べ自動酸化安定性および熱酸化安定性は向上した。しかし, 加熱時ではむしろ配合油のほうがTocは速やかに消失した。
2) 大豆硬化油とパーム油の組合せは, 自動酸化および熱酸化に対して非常に安定であるが, 加熱により配合油中のTocは急減した。
3) 大豆油とごま油の組合せは, ごま油の配合割合が増すにしたがい油脂の酸化安定性は向上し, Tocの熱分解も少なくなった。
4) 油脂の熱酸化防止の面で望ましい配合割合は, なたね油とパーム油, 大豆油とパーム油, 綿実油とオリーブ油, サフラワー油と高ナレイン酸サフラワー油, とうもろこし油と大豆硬化油, 大豆油とごま油の組合せで, いずれも2: 8 (w/w) であり, 大豆硬化油とパーム油の組合せでは2: 8および4: 6, 大豆油と綿実油の組合せでは6: 4, 大豆油, なたね油, パーム油の3種の組合せでは3: 3: 4の割合であった。
5) 油脂の熱酸化安定性が高く, かつ, Tocの熱分解の少ない配合油の調製としては, 大豆油やなたね油にごま油を配合する。ごま油を用いない場合は, 大豆油やなたね油にパーム油を配合するか, あるいは, 大豆油, なたね油, パーム油の3種を組合せ, その配合割合は3: 3: 4のものが望ましい。

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