日本栄養・食糧学会誌
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ヒトの血中, 尿中ナイアシン誘導体含量に及ぼすニコチン酸投与の影響
岡本 秀己灘本 知憲宮本 悌次郎
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1992 年 45 巻 4 号 p. 313-316

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抄録

健康な男子5名に, ナイアシンとトリプトファン制限下で, NiAを連続投与 (0mg, 25mg, 50mg/day各3日) し, 血液中NAD値とナイアシン値の経日変化および尿中MNA量とナイアシン量への影響について検討を行った。
通常ナイアシン摂取レベルにおいては, 血中NAD値は, NiA投与量に関わらず, 26.2nmol/ml前後で維持され, 高い恒常性を示した。血中ナイアシン値は, 50mgNiA投与期で著しく増加し, 恒常性維持の上限が40~55mg/dayと推定され, NiA→NADの代謝速度が1.75~2.3mg/h程度である可能性が示唆された。
尿中MNA排泄量は, NiA投与量に比例して直線的に増加し, 高い正の相関性が認められた。尿中ナイアシン排泄量は血中でオーバーフローした血中ナイアシンに呼応して, 投与NiA 50mgでわずかに増加したが, 少なくともNiA摂取65mg/dayでは大部分が体内で利用あるいは蓄積されると考えられた。
以上より, ナイアシン当量制限下で, 同レベルのナイアシン投与を行ったときの3日目の尿中MNA排泄値が, 摂取ナイアシン量の指標となりうることが確認された。

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