日本栄養・食糧学会誌
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門脈カテーテル留置ラットによるカルシウムカゼインペプチドの腸管吸収について
島岡 巌栢下 淳中城 巳佐男森 繁弘糸川 嘉則
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1992 年 45 巻 4 号 p. 339-345

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抄録

カルシウムカゼイネートに微生物由来の中性プロテアーゼを作用させて調製した, カルシウムカゼインペプチド (CaCP) およびそれと同一組成のアミノ酸混合物 (AAM) を用いラットの門脈血経時的採血法によるin vivo吸収実験を実施した。その結果, CaCPはAAMに比較して, 腸管からきわめて速やかに吸収され, その吸収量も増加することが明らかとなった。また, 吸収されたアミノ酸の比率は, CaCPのアミノ酸組成と必ずしも一致しなかったが, 個々のアミノ酸の吸収量, および吸収速度をAAMと比較した場合, CaCPはとくに必須アミノ酸の吸収性に優れていた。これより, CaCPは腸管からの吸収性に優れ, 栄養学的な効果も期待できると考えられる。
また, 本実験系に用いた門脈カテーテル留置ラットの作製方法について, 今回新たな改良を施した結果, 実験手技の簡便性をより高めることが可能となった。

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