日本栄養・食糧学会誌
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細胞間質液pHの変動と米酢の作用
高久 武司奥田 拓道前田 信治
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1992 年 45 巻 6 号 p. 523-527

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抄録

ラットの前脛骨筋表面の細胞間質液pHを温度補正付pHモニターで測定した。細胞間質液pH値は, 電極装着後, 徐々に上昇し20分後から90分までは一定の値を維持する。そこで, 電極装着後20分から90分までの値を細胞間質液pHとした。次に, 虚血による影響を検討するため, pH電極を装着している左下腿の前脛骨筋の上部にある大腿動脈を手指で圧迫し, 細胞間質液pHの変動を観察した。細胞間質液pHは, 手指で圧迫し血流を止めると瞬時に低下し圧迫を除き血流を再開すると上昇した。一方, 炭酸ガスの吸入の実験でも, 細胞間質液pHは低下した。このような事実は, 血流遮断によるpHの低下が, 筋肉から産生された炭酸ガスの蓄積によることを推測させるものである。さらに, 糖尿病ラットの細胞間質液pHは, 正常ラットに比べて有意に低下していることがわかった。また, 米酢 (くろず) の経口投与で糖尿病ラット細胞間質液pHはわずかではあるが, 有意に上昇することが明らかになった。

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