日本栄養・食糧学会誌
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ラットの脂質代謝に及ぼすオーツガム質ならびに大麦ガム質の影響
小田 泰士青江 誠一郎真田 宏夫綾野 雄幸
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1993 年 46 巻 2 号 p. 147-153

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抄録

ラットの脂質代謝の改善に有効な穀物ガム質の最小DF添加量をオーツと大麦で比較するために, あらかじめ脱脂した穀物からガム質を調製した。これらのガム質を高コレステロール飼料にDFとして1, 2, 4%の3段階に添加し, ラットに摂取させて, 各ガム質添加群の血漿および肝臓脂質濃度ならびに総脂質およびステロイド排泄量をガム質無添加群と比較した。
オーツガム質を1%以上添加した群と大麦ガム質を2%以上添加した群は, 血漿トリグリセリド, 肝臓コレステロール, 肝臓トリグリセリドの各濃度を低下させた。血漿コレステロ ル濃度には各ガム質ともに有意差は認められなかった。オーツガム質4%添加群は総脂質の排泄量を増加させたが, 大麦ガム質には有意差は認められなかった。オーツガム質を2%以上添加した群と大麦ガム質を1%添加した群は, 酸性ステロイドの排泄量を増加させた。中性ステロイド排泄量は各ガム質ともに有意差は認められなかった。
以上の結果より, コレステロール摂取ラットの脂質代謝を改善する穀物ガム質の最小DF添加量は, ナーツガム質では1%, 大麦ガム質では2%であることが認められた。また, これらのガム質の脂質代謝改善効果は, 食餌性脂肪の吸収抑制では説明できなかった。

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