日本栄養・食糧学会誌
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ニンジン食物繊維の調理による変化のタンパク質利用に及ぼす影響
斎藤 洋子吉田 琴境野 ちふみ
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1993 年 46 巻 3 号 p. 205-210

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抄録

野菜食物繊維の調理による変化が, タンパク質の消化吸収およびその利用にいかに影響するかをニンジンにて検討した。
1) 生および炒めたニンジンをアセトン中でホモゲナイズ後, アセトンおよびエーテルで脱水, 脱脂したものを食物繊維とした。この生および炒めニンジン食物繊維中の酵素重量法で測定した食物繊維量はそれぞれ62, 55%であった。
2) 生および炒めニンジン食物繊維を20%添加した飼料でラットを2週間飼育し, タンパク質の見掛けおよび真の消化吸収率, 窒素出納, 生物価を測定した。
3) タンパク質の見掛け消化吸収率は食物繊維添加群でやや低下したが, 真の消化吸収率は低下しなかった。窒素出納は大きい方から炒め食物繊維群, 標準群, 生食物繊維群の順であり, 生物価は高い方から炒め食物繊維群, 生食物繊維群, 標準群の順であった。
4) 乾燥糞重量は, 多い方から生食物繊維群, 標準群, 炒め食物繊維群の順であった。盲腸重量および大腸の長さは食物繊維添加群で標準群より大であった。
以上, ニンジン食物繊維の調理による変化はタンパク質の消化吸収率には影響しないが, その利用および糞重量には影響することが認められた。

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