日本栄養・食糧学会誌
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2種類の窒素源飼料を摂取した普通および無菌マウスにおける代謝性糞窒素量の測定
山中 聖敬亀高 正夫
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1993 年 46 巻 6 号 p. 512-516

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抄録

精製全卵タンパク質 (WE), WEと同じアミノ酸組成をもつ結晶アミノ酸混合物 (AA) を, 窒素 (N) ×6.25でそれぞれ6, 10, 14%含む飼料と, 無タンパク質 (P. free) 飼料とを, CVおよびGFマウスに与え以下の試験をした。すなわち, AA飼料はアミノ酸態のNのみを含み, この飼料を摂取したマウスの糞中には, 未消化の飼料残渣由来のタンパク態Nは存在しないこと, さらに, GFマウスの糞中には消化管内微生物とこれの存在により派生した物質由来のタンパク態Nが存在しないことから, WEとAA飼料, CVとGFマウスで糞への純タンパク質 (タンパク質) 排泄量にどれほどの違いがあるかを比較した。一般的にいえば, WE飼料群がAA飼料群より, CVマウスがGFマウスより, 糞へのタンパク質排泄量が多かった。また, 飼料のN含有量によっても異なり14%群が多く, P. free飼料群は著しく少なかった。未消化の飼料残渣由来分と消化管内微生物ならびにそれの存在により派生した物質由来分の糞中タンパク質量は, 摂取飼料のN含有量と関連があり, N含有量の低い飼料ほど少ない傾向であったが, はく離した消化管上皮や消化液由来分の糞中タンパク質量には, 前2者におけるような傾向はなかった。未消化の飼料残渣由来分を除いた, いわゆる, 代謝性糞N (MFN) 分に相当する糞のタンパク質量は, 摂取飼料乾物19当りでP. free飼料群が7.7mg, 6%飼料群は8.4mg, 10%飼料の2群では9.6と11.7mg, 14%飼料群は11.2mgであった。つぎに糞乾物100g当りでみると, P. free飼料群が4.49g, 6%飼料群は5.42g, 10%飼料の2群は6.37と7.28g, 14%飼料群は7.31gであった。

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