日本栄養・食糧学会誌
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摂取カゼインレベルが腎臓および尿中のカルシウム量に及ぼす影響
阿左美 章治平塚 静子北野 隆雄江指 隆年
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1994 年 47 巻 2 号 p. 117-122

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抄録

生後4週齢のフィッシャー系雌ラットにカゼインをタンパク質源とし, その含有量をそれぞれ10%, 20%, 40%とした飼料, すなわち10%カゼイン食 (C-10), 20%カゼイン食 (C-20), 40%カゼイン食 (C-40) を5週間与えカルシウム (Ca), リン (P), マグネシウム (Mg) の出納実験を行った。また, ミネラル出納に影響を及ぼす腎臓についてその肥大や組織の形態学的な観察を実施した。さらにCaの恒常性に関する血清中のCa量, PTH量, 大腿骨や腎臓中のCa量についても検討した。
結果は以下のとおりであった。
1) Caの尿中排泄率はC-40が3群中最高値を示した。
2) 腎臓の肥大はC-10, C-40に認められるもののC-10についてはCaの尿への高排泄を伴わなかった。
3) C-10の腎臓Ca量はC-40のおよそ60倍を示し遠位尿細管部に著しいCaの沈着が認められた。
4) C-40の血清中遊離Ca量は3群中最低値を示した。
5) C-40の血清中PTH量は3群中最高値を示した。
6) C-10の大腿骨中Ca量は3群中最低値を示した。
以上の結果から, タンパク質の摂取レベルに対するCa代謝の対応は腎臓を中心に異なることが考えられた。

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