日本栄養・食糧学会誌
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乳清タンパク質酵素分解物の消化吸収性
中埜 拓島谷 雅治村上 雄二佐藤 則文井戸田 正
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1994 年 47 巻 3 号 p. 195-201

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抄録

WPPの消化吸収性について, 消化酵素を用いた人工消化試験ラットを用いた消化性および腸管から血中へのアミノ酸移行速度等を素材であるWPCと比較した。ペプシン・パンクレアチン連続処理では, 両者ともほぼ同様な分子量分布に分解された。しかし, ペプシンまたはパンクレアチンのどちらか一方の酵素で処理した場合には, WPCは高分子画分の分解が不完全であった。胃ゾンデを用いたラットによる消化吸収試験では, WPP群は, 投与7分後で胃内容物が大きく減少し, これに対応して血漿遊離アミノ酸濃度も有意に上昇した。一方, WPC群の血漿遊離アミノ酸濃度は30分後にピークが現れた。このため, WPPは生体内での消化吸収性が優れていると考えられた。また, WPP投与時の血漿遊離アミノ酸濃度は, 投与後7分以降急激に減少することから, 吸収された遊離アミノ酸は血液から各組織へ速やかに移行し, 組織で利用されていると考えられた。

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