日本栄養・食糧学会誌
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レンネットカゼインから調製した乳カルシウム標品のラットにおける生体利用性
加藤 健高田 幸宏松山 博昭青江 誠一郎坂本 隆男八尋 政利中島 一郎
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1994 年 47 巻 5 号 p. 385-390

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抄録

本研究では, 成熟雄ラットを用いて, レンネットカゼインから調製した乳カルシウム標品の吸収性, 生体利用性をリン酸水素カルシウムおよび乳可溶性カルシウム類似塩と比較, 検討した。その結果,
1) 体重増加量, 飼料摂取量および飼料効率には, 各群で差は認められなかった。
2) 尿中カルシウム排泄量は, リン酸水素カルシウム投与群に比べ, 乳可溶性カルシウム類似塩投与群では高値を, また乳カルシウム標品投与群では有意に高い値を示した。
3) 血漿カルシトニン濃度は, 乳カルシウム標品投与群がリン酸水素カルシウム投与群に比べ有意に高い値を示し, また乳可溶性カルシウム類似塩投与群に比べ高値を示した。
4) 大腿骨カルシウム増加量は, 乳カルシウム標品投与群がリン酸水素カルシウム投与群に比べ有意に高い値を示し, また乳可溶性カルシウム類似塩投与群に比べ高値を示した。
以上の結果から, レンネットカゼインから調製した乳カルシウム標品は吸収性に優れ, また骨中カルシウムを高めるカルシウム源であると考えられる。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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