日本栄養・食糧学会誌
Online ISSN : 1883-2849
Print ISSN : 0287-3516
ISSN-L : 0287-3516
アルコールを投与されたラットおよびヒトのアルコール濃度に及ぼすケンポナシ (Hovenia dulcis Thunb.) 抽出物の影響
大熊 浩石川 久史伊東 禧男林 良興遠藤 章渡邉 日章
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 48 巻 3 号 p. 167-172

詳細
抄録

Hdを各種溶媒で分画し, その分画物摂取後のアルコール代謝に及ぼす影響についてラットおよびヒトを用いてそれぞれ検討した。
1) 各種溶媒により得られたHd分画物のうち, アルコール投与ラットの血中アルコールおよびアセトアルデヒド濃度を最も低下させた画分は2規定塩酸溶出画分であり, それぞれの低下率は40%, 37%であった。次に効果を示した画分はメタノール抽出物であり, それぞれ12%, 17%低下させた。
2) ヒト試験において, 糖質, タンパク質等からなるHdのエタノール抽出物の摂取では, 飲酒後の唾液中アルコールおよびアセトアルデヒド濃度を低下させる傾向が見られ, 飲酒の2時間後においては, 被験者6名中4名の唾液中のアルコール濃度を有意に低下させた。
3) エタノール抽出物はヒトの飲酒後の呼気アルコール濃度を有意に低下させ, 飲酒の1時間後においては, 被験者8名中5名で有意な濃度の低下を示した。
以上の結果より, Hdには飲酒後の体内における血中アルコールやアセトアルデヒド濃度を低下させる効果があり, 飲酒による酔いの症状を軽減するとともに, 呼気中のアルコール濃度の消失を早めるものと思われる。

著者関連情報
© 社団法人日本栄養・食糧学会
次の記事
feedback
Top