日本栄養・食糧学会誌
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草類タンパク質の抽出率に及ぼす希塩酸性アセトン溶液による前処理の影響
草類タンパク質の栄養価に関する研究 (第31報)
保井 忠彦
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1996 年 49 巻 4 号 p. 195-205

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抄録

草類からタンパク質を効率よく簡便に, かつ高収量で抽出, 分離するためには, 試料をあらかじめ2N HClで前処理することが効果的であることを前報で明らかにした。本報告ではこれに代わる方法を検討した。その結果は次のとおりである。
1) 試料を1N HCl80%アセトン溶液で, 22℃または38℃に前処理し, しかる後に0.1% 2-ME含有0.05N NaOH溶液で, タンパク質を抽出することにより, 純タンパク質の抽出率は2N HCl溶液での前処理の場合に等しいか, 若干高かった。試料によっては0.3Nまたは0.5N HClを含有する80, 90または95%アセトン溶液を用いて良好な結果が得られた。
2) 試料に対する前処理剤での温度は38℃にすることで, 22℃の場合より大幅に処理時間を短縮しえた。
3) 本法による各種試料のTCA溶液沈澱性の純タンパク質としての最大抽出率はホウレンソウと大根葉90%, キャベツ94%, アツミカブの葉とレッドクローバー85%, アルファルファー84%, ホワイトクローバー81%, ホテイアオイ72%などであった。

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