日本栄養・食糧学会誌
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卵黄リン脂質摂取ラットの血清・肝臓脂質濃度に及ぼす魚油投与の効果
黒田 圭一細山田 康恵小畠 義樹
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1997 年 50 巻 1 号 p. 25-30

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抄録

ラットへの高Chol飼料投与は血清や肝臓のChol濃度上昇を起こすが, この飼料に5%卵黄リン脂質を添加すると, 血清, 肝臓Chol濃度は抑制され, 糞中への見かけのChol排泄率は増加した。魚油のみの添加では血清Chol濃度は低下したが, 肝臓Chol濃度の低下は起こらず, Chol排泄率にも影響しなかった。さらに, この飼料に卵黄リン脂質と魚油を同時に添加すると, 血清Chol濃度は低下した。しかし, Chol排泄率はリン脂質のみの添加より, むしろ低下した。魚油と似た脂肪酸組成をもつオキアミリン脂質を添加した飼料でもChol排泄率は低下した。しかし, 魚油の2倍のDHA濃度のDHA濃縮油はサフラワー油と同様にリン脂質によるChol排泄率上昇を抑制する効果を示さなかつた。これらの結果から, 卵黄リン脂質と魚油の同時添加における血清Chol低下作用は, 卵黄リン脂質は魚油脂肪酸と共同して, 糞中へのChol排泄以外の機作によって起こる可能性を示唆していた。また, その作用がDHAなどの高度不飽和脂肪酸によるのかどうか明らかではなかった。

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