日本栄養・食糧学会誌
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ラットの亜鉛代謝に及ぼす食餌脂質の影響
大條 英之則井 孝文鈴木 博雄
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1997 年 50 巻 2 号 p. 119-126

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抄録

ラットの亜鉛代謝に及ぼす食餌脂質量および脂肪酸含量の影響を組織亜鉛量の変動を指標として検討し, 以下に示す内容が明らかになった。
1) 亜鉛欠乏および亜鉛適量条件において, 5%コーン油食および5%牛脂食を摂取したラットの成長, 血清APase活性, 血清, 腎臓, 下部小腸および大腿骨亜鉛量は亜鉛欠乏により低下したが食餌脂質間の違いは認められなかった。
2) 20%コーン油食および20%牛脂食摂取ラットの組織亜鉛量に及ぼす影響を10%または20%の食餌タンパク質, 適量以下 (10ppm) の食餌亜鉛の条件を用いて検討した。血清APase活性, 血清, 大腿骨および下部小腸亜鉛含量は20%コーン油食摂取ラットに比べて20%牛脂食摂取ラットの方が高い値を示し, 大腿骨亜鉛量の差は低タンパク質食摂取条件においてより増大した。
3) 20%コーン油食群および5%牛脂食群に比べて20%牛脂食群の体内亜鉛充足度は高く, 高牛脂食摂取ラットの亜鉛要求量の低下が示唆された。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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