日本栄養・食糧学会誌
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ショ糖およびオロト酸摂取によるラット肝脂質蓄積に対する食餌ミオイノシトールおよびフィチン酸の影響
大呑 尚子片山 徹之
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1997 年 50 巻 4 号 p. 267-272

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抄録

ショ糖あるいはオロト酸摂取ラットの肝臓脂質蓄積に対する食餌ミオイノシトールおよびフィチン酸の影響について検討した。ショ糖摂取ラットにおける肝臓脂質蓄積あるいは肝臓のG6PDおよびME活性の増大は, 食餌ミオイノシトールあるいはフィチン酸によりほぼ同様に抑制された。このとき, ミオイノシトールやフィチン酸による血清脂質に対する影響は認められなかった。一方, 脂質合成は抑制するにもかかわらず, 肝臓からのリポタンパク質の放出の抑制の原因で生じるオロト酸摂取によるラット肝臓脂質蓄積に関しては, ミオイノシトールおよびフィチン酸ともにその脂肪肝の緩和効果を示さなかった。これらの結果より, フィチン酸は脂質代謝に関してビタミン様物質であるミオイノシトールと類似した効果を示し, とくに食餌ミオイノシトールあるいはフィチン酸は, 肝臓脂肪酸合成の促進に起因する肝臓脂質蓄積に対して緩和効果を有するのではないかと推定した。
また, ミオイノシトールはオロト酸摂取による飼料効率の低下や成長の遅延を緩和した。このことは, オロト酸摂取下で食餌からのミオイノシトールの供給が重要であることを示しており, オロト酸摂取による飼料効率の低下や成長の遅延が, 必ずしも肝臓脂質蓄積と関係しない可能性が示唆された。

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