日本栄養・食糧学会誌
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干しあごと焼きあごのエキス成分の比較
小櫛 満里子原田 禄郎
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1997 年 50 巻 4 号 p. 295-301

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抄録

生あごを塩干しした干しあごと焼き干しした焼きあごについてエキス成分を比較した。干しあごでは天日乾燥により生あごよりもIMPが減少し, また, 生あごに大量に含まれた遊離Hisも一部減少したが, 他の遊離および結合アミノ酸は増加し, とくにGlu, Asp, Ala, Lys, Argなどうま味に富む遊離アミノ酸類が著しく増加した。多量に残存するHisも他のアミノ酸と共存するときうま味を与え, 多量の乳酸, NaClも呈味に関与すると思われるが, 結局干しあごの呈味にはおもに多量に増加した遊離アミノ酸系の成分と水分の減少による濃厚化が大きく寄与している。
焼きあごは製造の際, 最初の焼く工程でIMPが著しく増加し, クレアチニンも増加したが, 遊離アミノ酸類は減少し, 酵素の失活により乾燥工程ではほとんどアミノ酸類は増加しなかった。焼きあごエキスには多量のIMPが含まれ, カツオ節と共通した呈味成分を多くもつ良好な出しのもとである。

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