日本栄養・食糧学会誌
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腎臓病食における無機質供給量の計算値と実測値との比較
岡田 和子松村 晃子真鍋 祐之坂本 貞一大中 政治中屋 豊
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1997 年 50 巻 5 号 p. 349-354

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抄録
腎臓病食の無機質 (Na, K, Ca, P, Fe, Mg, Zn, CuおよびMn) 含量を各献立 (235種) ごとに, 42日間にわたり実測した。また, 食品成分表より求めた計算値と比較するとともに調理法別, 料理別にっいても検討した。さらに代表的な献立を個別に調理し, 各元素の残存率を調べた。その結果,
1) 1日平均供給量においてCa, FeおよびZnは供給不足となりやすいことがわかった。ZnとCuを除く無機質の実測値は計算値より低く, とくにKおよびFeは計算値の67および62%であった。計算上ほぼ満足した献立であっても調理損失が大であるためFeは不足すること, Kは計算値より3~4割低い供給となることがわかった。
2) 献立を調理法別 (煮物, 焼物, 揚げ物, 妙め物, 蒸し物, お浸し, サラダ) に分類し, 各元素の計算値に対する実測値の割合をみると, 調理法によって差があり, 水浸・水戻しや茹で操作を伴う調理では無機質の流失が多く, とくにKはその損失が大であった。ヒジキの煮付, きんぴら料理で約30%, お浸し, 酢の物で約50%, 茹でサラダで約60%と茹で操作を加えた料理で計算値に比べ実測値が低かった。
K制限食献立作成時には, 単にK含量の低い食品を用いるのみでなく, 茹でる料理をうまく組み合わせるなどの料理法を工夫することの重要性を示した。
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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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