日本栄養・食糧学会誌
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オレイン酸がラットの脂質代謝に及ぼす影響
茶油とオリーブ油を用いた検討
申 曼珍高橋 慶一野地 暁井上 郁夫長崎 厚子片山 茂裕若林 孝雄
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1999 年 52 巻 6 号 p. 349-358

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抄録

オレイン酸が主成分で類似した脂肪酸組成を有する茶油とオリーブ油を用い, 大豆油とヤシ油を対照にし, 高脂肪食がラットの脂質代謝に及ぼす影響を検討した。
血清TCおよびHDL-CがSOY群と比較して, TEA群, OLIVE群, PALM群では有意に低値を示し, OLIVE群ではVLDL-Cが有意に高く, IDL-C, LDL-Cは低い傾向が認められた。TEA群ではこのような差がなく, VLDL-CはOLIVE群より低かった。また, TC分泌速度はSOY群と比し, OLIVE群とTEA群では速かった。肝TC含有量はOLIVE群では高く, TEA群では高い傾向であった。オレイン酸では血清TCの低値, 肝での合成速度の増加が認められた。また, オリーブ油ではVLDL分泌が亢進し, IDL, LDLのクリアランスが亢進していると考えられ, 茶油ではVLDL分泌の亢進傾向と同時に, VLDLからIDLへの転換が速いと推測される。
血清TGはSOY群と比較してOLIVE群では高い傾向を示し, VLDL-TGは有意に高値であった。一方, TEA群ではSOY群とは差がなかったがOLIVE群より有意に低値であった。
オリーブ油と脂肪酸組成の類似した茶油では血清脂質, リポタンパクへの作用にオリーブ油と異なった結果が得られ, オレイン酸以外の要素も関与していると思われた。要素の一つは, オリーブ油と茶油の植物ステロール含有量と組成が大きく異なっていることと考えられる。

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