日本栄養・食糧学会誌
Online ISSN : 1883-2849
Print ISSN : 0287-3516
ISSN-L : 0287-3516
ラット血清および組織中のペンタクロロベンゼン蓄積抑制に及ぼす各種リン脂質投与の効果
細山田 康恵黒田 圭一小畠 義樹
著者情報
ジャーナル フリー

2000 年 53 巻 1 号 p. 11-17

詳細
抄録

4週齢雄のSD系ラットに0.1% PECBを含むAIN-76飼料を2週間投与し, 血清と組織中各種脂質およびPECB濃度に与える効果を検討した。実験飼料には5%レベルでOliO, RapO, EggPL, SoyPL-L, SoyPL-H, RapPLをそれぞれ添加した。体重増加量と飼料摂取量は6群間に差はなかった。血清コレステロールとトリグリセリド濃度はOliO群に比ベリン脂質を含むすべての群で有意に低下した。特にSoyPL-L群で低下が顕著であった。肝臓トリグリセリド濃度も血清のそれらと似た傾向を示した。肝臓コレステロール濃度はOliO群に比べすべてのリン脂質群で低下傾向があった。血清と肝臓PECB濃度はOliO群とRapO群に比べすべてのリン脂質群で低値を示した。特にSoyPL-L群は著しい低値を示した。腎臓PECB濃度はOliO群とすべての群の間でほとんど差が見られなかったが, SoyPL-L群は逆に他のリン脂質群より上昇傾向が見られた。副睾丸周辺脂肪PECB濃度はOliO群に比べRapPL群を除くリン脂質群で低下した。糞中PECB排泄率はEggPL群以外のリン脂質群で上昇した。これらの結果から, 各種リン脂質は血清, 肝臓の脂質低下効果を示し, 同時に血清, 肝臓, 脂肪組織のPECB濃度低下および糞中PECB増加により体内PECB蓄積を低下させる可能性が考えられた。この場合, 血清PECB低下はホスファチジルエタノールアミン摂取量となんらか関係すると考えられた。

著者関連情報
© 社団法人日本栄養・食糧学会
前の記事 次の記事
feedback
Top