日本栄養・食糧学会誌
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キノア投与が食餌性高脂血症誘導高血圧自然発症ラット (SHR) の血圧, 脂質代謝に及ぼす影響
小川 博渡辺 克美光永 俊郎目黒 忠道
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2001 年 54 巻 4 号 p. 221-227

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抄録

キノア (Chenopodium quinoa) はミルクカゼインに匹敵するタンパクを含み, またカリウム, 鉄, カルシウム, リボフラビンのような微量栄養成分に富んでいる。本研究において, われわれは高脂質食投与により高脂血症を誘導した高血圧自然発症ラット (SHR) を用い, キノア (外皮を除いたキノア粉) の機能性について検討を行った。11週齢の雄性ラット1群6例を使用した。実験群は, 組成をカゼイン高脂質食 (対照) のそれらと一致させたキノア食にて6週間飼育した。最初の2週間は実験群において有意な飼料摂取量と成長率の低下が観察されたが, 2週間以後にはそのような差異は認められなくなった。5週間飼育時, 実験群の最高血圧上昇が有意に抑制され, キノアの血圧低下効果が示唆された。さらに, 対照群と比較すると, 血清apoA-I濃度の有意な高値とapoB/apoA-I比の有意な低値が認められた。肝臓では, 比重量が実験群において有意な低値であったが, 脂質含量やコレステロール代謝関連酵素活性値には有意な差はなかった。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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