日本栄養・食糧学会誌
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フラクトオリゴ糖添加成分栄養剤がラットの腸内細菌叢に与える影響
松浦 寿喜堀名 恵美岸本 三香子市川 富夫
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2001 年 54 巻 4 号 p. 229-234

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抄録

フラクトオリゴ糖を添加した成分栄養剤をラットに持続的に投与し, 腸内細菌叢の変化を市販の成分栄養剤と比較した。胃にカテーテルを留置したSD系雄性ラットに成分栄養剤あるいはフラクトオリゴ糖を添加した成分栄養剤を3, 5および7日間持続投与した。盲腸内容物重量および盲腸組織重量は, 投与後3-7日においてフラクトオリゴ糖添加により有意に高値を示し, 腸内容物pHは有意に低値を示した。生菌数は, 成分栄養剤投与群に比しフラクトオリゴ糖添加群で, Bifidobacterium および Lactobacillus が有意に高値を示した。しかし, 投与後5および7日では, フラクトオリゴ糖添加群においても Enterobacteriaceae および Enterococcus が増加し, 両群間に差が認められなくなった。以上の結果より, 成分栄養剤へのフラクトオリゴ糖の添加は, 盲腸内容物および BifidobacteriumLactobacillus などの嫌気性菌の増加, さらには腸内容物pHの低下など腸内環境の改善に有効であることが明らかとなった。

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