日本栄養・食糧学会誌
Online ISSN : 1883-2849
Print ISSN : 0287-3516
ISSN-L : 0287-3516
食品の切り方が咀しゃく特性およびかみ易さに及ぼす影響
吉野 陽子桑原 礼子
著者情報
ジャーナル フリー

2001 年 54 巻 6 号 p. 355-359

詳細
抄録

食品の切り方の違いが咀しゃく特性とかみ易さに及ぼす影響について調べることを目的とした。まず, 5品目の野菜について乱切り, 線切りおよび斜め切りの3種でかみ易さの違いを調べた。ごぼう, 大根およびセロリでは, 線切りに比べ乱切りが有意にかみ易い結果となった。しかし, 人参ときゅうりでは有意差が認められなかった。次に, 咀しゃく後の食物片の粒度分布を検討した。その結果, 咀しゃく回数を多くすると線切りに比べ乱切りの方が均一となった。従って, 乱切りは口腔内でまとまり易く食塊になり易いと考えられた。また, 硬さを調べたところ加熱調理したごぼう, 大根および人参は乱切りが最も軟らかく, 生のきゅうりとセロリでは線切りが軟らかかった。さらに, 官能評価においても, 乱切りは線切りに比べ高く評価された。以上の結果から, 乱切りは線切りに比べかみ易く, 全ての食材を細かく刻むのは好ましいとはいえないことがわかった。すなわち, かみ易さという点から, 食品によっては安定してかめるように乱切りにし, 調理する方が望ましいといえる。

著者関連情報
© 社団法人日本栄養・食糧学会
前の記事 次の記事
feedback
Top