日本栄養・食糧学会誌
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キノアテンペ (テンペ菌で発酵させたキノア) の抗酸化作用
松尾 眞砂子
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2003 年 56 巻 2 号 p. 91-95

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抄録

キノア (Chenopodium quinoa) は古くからアンデス地方で主食として利用されてきた擬穀類である。キノアを米のように普及させるためにテンペ菌 (Rhizopus oligosporus) で発酵させてキノアテンペ (Q-テンペ) を調製し, 抗酸化力をキノアと比較した。Q-テンペの80%メタノール抽出物はキノア抽出物より1,1-ジフェニル-2-ピクリルヒドラジル (DPPH) ラジカル消去力が強かった。このDPPHラジカル消去物質は蒸し加熱に不安定だったが, 胃酸程度の酸性にすると活性が増大した。Q-テンペの生体内抗酸化力を確認するためにキノアとQ-テンペの粉末をラットに投与した。Q-テンペ投与ラットはキノア投与ラットに比べ血清と肝臓の過酸化物値が有意に低く, 肝臓のグルタチオンペルオキシダーゼ (EC1.11.1.9) 活性が強かった。これらの結果は, Q-テンペはキノアより生体内抗酸化作用が強いことを示唆した。

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