日本栄養・食糧学会誌
Online ISSN : 1883-2849
Print ISSN : 0287-3516
ISSN-L : 0287-3516
固形粒子の摂取がラット消化管内容物の粘度や消化管の組織重量に与える影響
高橋 徹山中 なつみ坂田 隆小川 宣子
著者情報
ジャーナル フリー

2003 年 56 巻 4 号 p. 199-205

詳細
抄録

消化管内容物の粘性は, 食物成分や消化酵素や栄養素の拡散を抑制することによって消化・吸収速度に影響する可能性がある。これまでにブタ盲腸内容物では固形粒子含量と粘性とが正の相関をすることが生体外の実験で明らかになっている。しかし, 固形粒子の経口摂取が生体の消化管内容物の粘性を実際に変化させるかどうかは不明である。そこで, この研究では食物中のセルロースのような固形物の粒子が消化管内容物の粘性や消化管の粘膜, 粘膜下組織, 筋層の組織重量に影響を与えるかどうかを調べた。セルロースを0, 11, 13%含む精製飼料を8日間摂取させたラットの胃, 小腸, 盲腸の内容物の粘性をE型粘度計で測定した。また, これらのラットの消化管各部の組織重量も測定した。その結果, セルロースの摂取によって消化管各部の内容物の粘性係数が高くなり (p<0.05), 結腸粘膜の組織重量が増加した (p<0.05)。以上の結果から, 固形粒子を含む食物を摂取すると消化管内容物の粘性が上昇することが示唆された。

著者関連情報
© 社団法人日本栄養・食糧学会
次の記事
feedback
Top