日本栄養・食糧学会誌
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ヒスチジン摂取が中高年肥満女性の減量に及ぼす影響
許斐 裕美子伊藤 和枝古賀 里利子今井 克己増田 隆阿部 志麿子田中 美鈴坂田 利家
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2004 年 57 巻 6 号 p. 265-270

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抄録

ヒスチジンから合成される神経ヒスタミンは, レプチンにより賦活化され摂食を抑制し, 脂肪分解を促進することが動物実験で報告されている。本研究は, 中高年肥満女性において, ヒスチジン摂取が摂食を抑制し, 脂肪分解を促進し, 血清レプチン濃度に影響を及ぼすか否かについて検討を行った。対象者は3カ月間の減量プログラムに参加した中高年肥満女性118名である。減量前後に, 採血, 体重測定, 食事調査を行った。減量後のタンパク質当りヒスチジン摂取量とエネルギー摂取量の間には有意な負の相関が認められた。この関係は, 血清レプチン濃度で補正後も成立した。また, 減量後のタンパク質当りヒスチジン摂取量と血清遊離脂肪酸濃度の間には有意な正の相関が認められた。以上のことより, 中高年肥満女性においてヒスチジン摂取が摂食を抑制し, 脂肪分解を促進する可能性が示唆され, ヒスチジンが肥満の予防, 改善に有効なアミノ酸であることが考察された。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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