日本栄養・食糧学会誌
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腸管粘膜上皮の細胞代謝を調節するセリンプロテアーゼおよびインヒビターに関する分子栄養学的研究
都築 巧
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2004 年 57 巻 6 号 p. 277-282

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抄録

腸管粘膜表面を構成する一層の上皮細胞は栄養素の吸収あるいは生体防御にとって重要である。上皮の機能を十全に発揮するためには古くなった細胞は速やかに除去され新しい細胞と置き換わる必要があるが, この腸管上皮の細胞代謝のメカニズムはよくわかっていない。新規膜結合性セリンプロテアーゼ membrane-type serine protease 1 (MT-SP1) を発見し, このものが生理的な腸管上皮の細胞代謝に深く関わっていることを示した。また異常細胞にアポトーシスを誘導していると考えられるセリンプロテアーゼ, グランザイムA (granzyme A; GrA) が膵分泌性トリプシンインヒビターによって阻害されることを見出した。以上の結果から腸管上皮の細胞代謝を調節するプロテアーゼ (MT-SP1) を上皮細胞自身が産生すること, 少なくともGrAが関わる病理的な細胞代謝は選択的に制御可能であることが示唆された。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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