日本栄養・食糧学会誌
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食品成分の脂質代謝調節に関する栄養学的研究
特に食餌タンパク質の効果について
古場 一哲
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2004 年 57 巻 6 号 p. 283-289

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抄録

食餌タンパク質は血清コレステロール濃度だけでなくリノール酸代謝にも影響し, 特に大豆タンパク質の摂食はカゼイン摂食に比べ, リノール酸代謝系の律速酵素である肝臓ミクロソームのΔ6不飽和化酵素の活性を低下させ, 肝臓リン脂質のアラキドン酸/リノール酸比を減少させる。このタンパク質効果は, 肝臓ミクロソームのコレステロール/リン脂質比の変化に伴うミクロソーム膜流動性の変化を介して起こっているものと考えられた。食餌タンパク質の効果にはそのアミノ酸組成が関与し, アルギニン含量の重要性が示唆された。また, 大豆タンパク質の摂取はカゼイン摂取に比べ血清・肝臓トリグリセリド濃度や脂肪組織重量を低下させ, 肝臓での脂肪酸β酸化能を亢進した。最近, 共役リノール酸 (CLA) の体脂肪減少作用が注目されているが, 大豆タンパク質を同時に摂食することでCLAの体脂肪減少作用はさらに効果的となることが示唆された。

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