2005 年 58 巻 2 号 p. 59-64
成長期における脂肪摂取量の差異が, 成熟後の脂肪の摂取嗜好に与える影響を調べた。3週齢のSD系雄ラットを36匹購入し, 1群12匹ずつの3群に分け, 標準食飼料 (以下標準食群とする), 低脂肪食飼料 (低脂肪食群), 高脂肪食飼料群 (高脂肪食群) で9週間飼育後, 各群6匹ずつのラットを解剖した。残りのラットには低脂肪食飼料と高脂肪食飼料を同時に与え, 選択摂取を3週間行わせた。実験期間中, 3群間の体重に有意な差はみられなかった。しかし, 後腹壁脂肪組織と副睾丸周辺脂肪組織重量は高脂肪食群が最も高く, 標準食群が最も低かった。選択摂取期間の低脂肪食飼料摂取割合は, 低脂肪食群が38-49%, 高脂肪食群は約20%であり, 標準食群は16%から徐々に増加し3週間後には47%となった。したがって, 成長期ラットにおける脂肪摂取量の差異は, 成熟後の脂肪摂取嗜好に影響を及ぼすと考えられた。