日本栄養・食糧学会誌
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高齢者のQOL向上のための免疫能の健全性を保持する日本型食生活の解析
饗場 直美近藤 雅雄
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2005 年 58 巻 2 号 p. 99-102

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抄録

高齢者のQOLを高める上で重要な因子として免疫機能があげられるが, 加齢に伴って胸腺の萎縮が観察されてくることから, これが免疫能の低下に関連していることが推測されている。老齢マウス胸腺において抗酸化酵素の活性低下がみられることより, 老齢マウスの胸腺はストレスに対して抵抗性が低下し, 酸化ストレスの影響を受けやすいことが明らかとなった。また, 細胞死に関連している細胞内活性酸素上昇を抑制する因子を探索するため, 食品中に含まれる26種の抗酸化成分について細胞内抗酸化能を評価した結果, 13種に抑制効果が認められた。日本の高齢者は, 免疫機能保持に重要なタンパク質摂取においては, 十分に摂取できていた。したがって現在の食生活に加えて, 高齢者で不足傾向にあったセレンなどの抗酸化酵素関連微量元素を多く含む食品摂取や, 細胞外のみでなく細胞内においても抗酸化能力を発現できうる抗酸化成分を多く含む食品群 (おもに野菜, 果物群) の選択的摂取を十分に摂取することが, 高齢者の低下した抗酸化能力を高め, 免疫能を保持し, 高齢者のQOLを高めるために重要であることが考えられた。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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