日本栄養・食糧学会誌
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玄米粉パン中フィチン酸のフィターゼ添加による加水分解
松尾 亜希子佐藤 健司中村 考志大槻 耕三
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2005 年 58 巻 5 号 p. 267-272

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抄録

玄米は健康食品素材として使用されているが, ミネラルを不溶化するフィチン酸を多く含むため, 小児や妊婦ではミネラル栄養不足が心配される。本研究では, パン材料の小麦粉の一部を市販焙煎玄米粉に置き換えた玄米粉パンにフィターゼを作用させ, フィチン酸の低減化を試みた。これらの玄米粉パンや玄米などに含まれるフィチン酸の分析は, 陰イオン交換HPLCと, Wade 試薬を使用するポストカラム法で行った。まず, 小麦粉の30%または50%を市販焙煎玄米粉に置き換えたところ, パン容積は低下したが, 特に玄米粉50%パンで著しかった。そこで次に, 外観やパン容積において許容しうる玄米粉30%パンのみに, パン材料521gあたり食品添加物用フィターゼ (Aspergillus niger 由来) を0.2gまたは1.0g添加して実験を行った。その結果, パン中のフィチン酸含量はフィターゼ添加量に応じて減少したが, 1.0g添加した玄米粉パンでは, 好ましくない外観がもたらされた。以上より, フィチン酸含量が低く, かつ品質の良い玄米粉30%パンを得るには, フィターゼの添加量は0.2gが適量であるという結果が得られた。

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