日本栄養・食糧学会誌
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つくば高血圧マウスの血圧に及ぼすニコチアナミンの影響
林 あつみ中山 知子村上 和雄青柳 康夫木元 幸一
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2005 年 58 巻 6 号 p. 315-321

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抄録

ニコチアナミンはアンギオテンシン変換酵素 (ACE) 阻害活性を有し, 高血圧自然発症ラットへの長期投与により血圧上昇抑制作用を示すことが報告されている。われわれは, 数種の植物中よりニコチアナミンを単離し, HPLC法を用いた植物中のニコチアナミンの迅速簡便な分析方法について確立してきた。今回はつくば高血圧マウス (THM) を用いてレニン-アンギオテンシン系 (RAS) に対するニコチアナミンの影響について検討した。THMは, C57BL/6マウスにヒトレニン遺伝子とアンギオテンシノーゲン遺伝子を導入することにより作製された高血圧モデル動物であり, 高血圧の成因がRASの亢進という単一因子である。われわれは, THMの血漿中ニコチアナミン濃度を定量し, 胃内投与後にニコチアナミンが腸管から吸収され血中に検出されたことを確認した。その結果, ニコチアナミン投与後6時間まで有意な血圧降下作用を示した。血漿ACE活性, さらに肺, 腎臓のACE活性は, ニコチアナミンの投与により低下した。ニコチアナミンが吸収されたことによりACE活性と血圧を低下させたことが示唆された。

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