日本栄養・食糧学会誌
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抗酸化ビタミンの体内動態とその生理作用
平成17年度日本栄養・食糧学会奨励賞
池田 彩子
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2005 年 58 巻 6 号 p. 343-350

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抄録

抗酸化ビタミンの生理作用を明らかにするために, ビタミンCとビタミンEの体内動態と, ビタミンC欠乏がタンパク質発現に及ぼす影響について検討した。アスコルビン酸 (ビタミンC) には4種の異性体が, ビタミンEには8種の同族体が存在する。そこで, これらの構造関連物質の体内分布を調べた。モルモットへのアスコルビン酸異性体の投与実験および肝細胞への取り込み実験から, 側鎖の立体配置の違いが体内動態に強く影響することが示された。ラットへのビタミンE同族体の投与実験から, 側鎖に二重結合をもつトコトリエノールが脂肪組織や皮膚などに高濃度に存在することや, ビタミンE代謝の阻害によって体内のビタミンE同族体濃度が著しく上昇することが明らかになった。さらに, ビタミンC欠乏によって, 数種の急性期タンパク質や炎症性サイトカインの血中濃度が変動することが明らかになり, ビタミンC欠乏時と炎症時における生体応答の関連が示された。

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