日本栄養・食糧学会誌
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栄養と脳機能に関する基礎研究
平成17年度日本栄養・食糧学会賞
横越 英彦
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2006 年 59 巻 1 号 p. 31-37

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抄録

高ストレス社会, 超高齢化社会を迎えている今日, 栄養学において「人間らしい健康長寿」に大きく貢献する研究分野として, 栄養神経科学がある。さまざまなストレッサーにさらされることにより, 体内代謝や内分泌機能の変化, 脳機能を反映した行動への影響, そして免疫機能の変化などが引き起こされる。脳は, 食物に含まれるすべての栄養素が必要であるが, それだけでなく, 栄養素以外の食品成分によっても影響を受け, 神秘のベールに包まれている脳機能も, 比較的容易に食べ物により影響される。これまで, 栄養条件, 食品成分, ストレス, ある種の病態時での脳内のタンパク質やアミノ酸代謝 (特に, 脳内神経伝達物質の代謝および放出制御), および, 各種の行動 (食欲, 記憶・学習行動) や精神活動が容易に影響を受けることを検討した。これらの知見は, 健康を確保する上での基礎研究であり, また, 新規の食品開発などへの貢献が期待される。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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