日本栄養・食糧学会誌
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メタボリックシンドローム患者における全血流動性規定因子と肥満の関係
小森 昭二
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2006 年 59 巻 2 号 p. 97-105

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抄録

生活習慣から由来する肥満 (特に内臓脂肪蓄積肥満) を基盤として, インスリン抵抗性を含む糖代謝異常, 脂質代謝異常などにより糖尿病, 高脂血症, 肥満症, 高血圧症などさまざまなリスクファクターが重積して, 発症する疾患群はメタボリックシンドロームと呼ばれている。メタボリックシンドローム患者における全血流動性に対する肥満の影響を検討するため, 抗凝固剤 ethylene diamine tetra acetate を用いた血算用採血を行い, 細胞マイクロレオロジー装置で全血流動性を測定した。対象症例は, 全血流動性を厳密に評価するため, 非喫煙のメタボリックシンドローム患者150例, 平均年齢を揃えた非喫煙の健常者48例とした。その結果, 非喫煙メタボリックシンドローム患者における全血流動性低下は, おもに高血糖, 高脂血症, 肥満に伴う血管内の炎症症状の亢進による白血球などの血球数の増加および変形能低下, 粘着・凝集能亢進によるものと考えられた。また機能性食品, 医薬品の全血流動性への臨床効果の評価においては, 評価目的に応じた対象症例, 投与期間, 適切な臨床検査および抗凝固剤の選択が重要と考えられた。

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