日本栄養・食糧学会誌
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尿中クロム濃度は運動不足が続くと増加する
三田 有紀子石原 健吾永田 清美福田 幸香安本 教傳
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キーワード: クロム, 運動
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2006 年 59 巻 4 号 p. 215-220

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抄録

運動によってインスリン感受性が改善されるメカニズムにクロム (Cr) 代謝が関与している可能性について検討するために, 運動習慣によって尿中Cr排泄量が異なるかどうか検討した。若い健常女性 (18-22歳) 30名を対象に, 1回の運動負荷前後の尿中Cr濃度の変動が運動習慣の有無に影響されているかどうか検討した。被験者には, 空腹状態で60分間運動を負荷し, 運動負荷前, 負荷後3時間, 24時間, 48時間の4回採尿した。尿中Cr, 銅, 亜鉛, ニッケル濃度はスペクトル干渉除去技術 (DRC) を用いたプラズマ誘導結合質量分析装置で測定した。尿中Cr濃度の変動は, 運動習慣別に群分けしたグループ間に差がみられなかった。一方, 運動負荷前の尿中Cr濃度は運動習慣のある群 (1.33ng/mg尿中クレアチニン) と比較して運動習慣のない群 (4.53ng/mg尿中クレアチニン) の方が有意に高値を示した。これらの結果から, 運動不足によって安静時の尿中Cr濃度が上昇することが示唆された。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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