日本栄養・食糧学会誌
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高脂肪食飼育ラットの脂質代謝改善に及ぼすサーファクチンと納豆の相乗効果
谷由 美子水野 さやか住岡 美由貴古市 幸生大島 芳文伏見 宗士垣沼 淳司
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2006 年 59 巻 5 号 p. 255-263

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抄録

ラットを用いて, コレステロール添加高脂肪食を飼料として与えた対照群, 対照群の飼料の53% (w/w) を納豆の凍結乾燥品で置換して組成を対照群の飼料とそろえた納豆群, およびおのおのにサーファクチン0.3%を添加した飼料を与えたサーファクチン群, サーファクチン・納豆群の3試験群, 計4群について脂質代謝を調べ, サーファクチン含量の高い納豆開発の可能性を検討した。その結果, 1) 血清総コレステロール, 動脈硬化指数, トリグリセリドとも三つの試験群で有意に低下または低下の傾向がみられ, 総コレステロールではサーファクチンと納豆の相乗効果が認められた。2) 肝臓の総脂質はサーファクチン・納豆群で, コンステロールはサーファクチン群とサーファクチン・納豆群で, トリグリセリドはいずれの試験群でも低値を示した。3) 糞中コレステロール排泄率はサーファクチン・納豆群で, 胆汁酸排泄量はすべての試験群で増加し, 肝臓の脂肪酸合成系は納豆群とサーファクチン・納豆群で低下した。以上の結果から, コレステロール添加高脂肪食飼育ラットにおいて, サーファクチンと納豆が, 血清総コレステロール, 肝臓トリグリセリドの低下および糞中コレステロール排泄率の増加に相乗作用を示すことがわかった。

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