神経理学療法学
Online ISSN : 2758-0458
研究論文
脳卒中後のPusher behaviorの改善効率および初期の重症度を加味した指標である“臨床的重症度”に関連する因子
板垣 莉央阿部 浩明大木 宗人
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2022 年 1 巻 1 号 p. 1-11

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抄録

【目的】本研究の目的は、Pusher behavior(以下、PB)の初期の重症度を加味した改善効率を算出し、臨床的重症度を求め、この指標に関連する因子を明らかにすることである。【方法】対象は、急性期脳卒中者1971名のうち、Scale for Contraversive PushingにてPBの出現が確認され、継時的にBurke Lateropulsion Scaleの評価がなされた136名とした。PBの初期の重症度を加味した改善効率を算出し、独自の指標である臨床的重症度を求めた。その中央値を基に軽症群と重症群に分類した。臨床的重症度分類を従属変数とし、PBの改善との関連が既知である変数ならびに調整変数である年齢、下肢運動麻痺の重症度、Barthel Index、感覚障害、損傷半球、半側空間無視、Japan Coma Scale、病型、発症から理学療法開始までの期間を独立変数としたロジスティック回帰分析を行った。【結果】ロジスティック回帰分析では、年齢、下肢運動機能、Japan Coma Scale、Barthel Indexが有意に関連した。【結論】年齢、下肢運動機能、Japan Coma Scale、Barthel Indexは、PBの初期の重症度と改善効率を加味した臨床的重症度と関連する重要な因子であると思われる。これらの因子はPB例の退院までの期間やリハビリテーションの計画を立案する際に参考にすべき指標となる可能性があると思われた。

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© 2022 日本神経理学療法学会
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