知能と情報
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原著論文
都市交通計画のためのファジィ交通手段選択モデルの構築
秋山 孝正奥嶋 政嗣
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2007 年 19 巻 2 号 p. 176-188

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抄録

都市交通計画のためには,個人の交通行動メカニズムから交通現象を解明しようとするアプローチとして「交通行動分析」が進展している.これは,個人の交通行動原理から,交通行動パターンを推計する方法である.具体的には,交通現象の微視的側面から個人単位の交通行動を推計する「交通行動モデル」を作成することが一般的である.現行の交通行動モデル作成においては,確率効用理論を基本とするロジットモデルなどの利用が中心であるが,実用的な交通行動推計面での問題点も知られている.具体的には,情報処理能力と習慣,モラルの活性化と利己的態度,経験の蓄積と学習,選好特性の状況依存性,不確実性やあいまい性の認知などを明示的に記述していない点である.これらに対して「ファジィ交通行動分析」が提案されている.交通行動意思決定のなかで交通機関選択行動が最も選択行動モデルの意図に合致する現象(選択肢が規定でき,個別行動者が選択を行っている現象)である.このため本研究では,交通行動分析モデルの主要な推計過程として「ファジィ交通手段選択モデル」の構成方法を検討する.したがって,本研究の検討により,ソフトコンピューティング技術を用いた交通行動モデルは,都市圏の交通行動パターンの解析や都市交通政策評価において極めて有効性が高いことが示される.

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© 2007 日本知能情報ファジィ学会
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