2007 年 19 巻 4 号 p. 392-401
動的計画法(DP)はナップサック問題のための最も有名な解法の一つである.このDP は擬似多項式時間で最適解を得ることが可能であり,現存するほとんどのインスタンスを解くことができることが知られている.そのため0-1ナップサック問題に関しては,NP 困難な問題の中でも比較的簡単な部類に属すると言われている.現在,ナップサック問題のための最も強力なアルゴリズムは,Martello らによって提案されたDP ベースのCombo である.このアルゴリズムは,多くの異なるコンセプトの組合せと考えられるため,Combo と名付けられた.しかし,Combo の提案者の一人であるPisinger はCombo にも解きにくい問題があることをベンチマーク問題によって示している.本論文では,タイプの異なる各種ナップサック問題へも柔軟に対応可能なように改良した起因レベルの設定式を提案するとともに,更なる解精度の向上と計算時間の短縮を目指した改良範囲調節型遺伝的アルゴリズムを提案する.このアルゴリズムは,貪欲解法から得られる各荷物の安定性を考慮することで解の探索範囲を徐々に拡大させることができる.この提案手法を解の獲得が困難とされる各種インスタンスに適用することでその有効性を検証する.