知能と情報
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原著論文
超音波 RF信号からの局所心筋の運動追跡による心筋を対象とした運動機能評価指標
水谷 洋輔鶴岡 信治川中 普晴篠木 剛大山 航関岡 清次
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2008 年 20 巻 1 号 p. 19-28

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抄録

心臓病の診断には,心臓の運動機能を定量的に評価することが重要であるとされている.医師は超音波画像に基づき,心筋の厚み変化率,心室容積変化率などの指標を用いることで時間的に変化する心臓の運動機能を定量的に評価している.筆者らの研究室では,心筋層内の運動機能を正確に計測するために,超音波RF信号から局所の心筋層内の追跡方法である信頼度付き階層的相関法を開発し,ノイズが少ない超音波RF信号に対して心筋層内の運動を定量的に計測することが可能になった.本論文では,信頼度付き階層的相関法による運動追跡を用いて,健常 22例と疾患 21例に対して心筋の運動を統計的に調査し,統計量を用いて心臓の運動機能評価のための指標を提案する.提案指標は,健常者の心筋層内における移動速度の平均と分散を考慮した指標,心筋の厚み変化率の平均と分散を考慮した指標,両方の指標を有病誤診率と無病誤診率の和が最小となる重み係数を使用して線形結合した指標の3種類である.提案指標と医師が運動機能評価に用いる指標である心筋の厚み変化率に対して,ROC解析を用いた判別精度の比較を行った.その結果,ROC曲線下の面積が,提案指標ではそれぞれ 0.95,0.91,0.97,厚み変化率では 0.93となり,厚み変化率による診断より診断精度が高い指標を提案することができた.

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© 2008 日本知能情報ファジィ学会
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